2011年10月5日水曜日

多文化社会バンクーバー -台湾フェスティバル編-

バンクーバーのダウンタウンを歩いていると、ある化粧品の広告を見つけました。


異なる人種の女性三人が一枚の写真に映っている、なるほどバンクーバーらしいなぁと広告を見ながら感じました。

ご存知の方も多いと思いますが、バンクーバーは移民の街です。19世紀よりゴールドラッシュや漁業の拡大、鉄道建設により世界中から移民が集まり、20世紀後半になってからも、自然と都市文化が両立された環境に惹きつけられ、人の流れが絶えることはありませんでした。1997年の香港返還の際には、共産主義化を恐れた多くの香港人がバンクーバーへやってきました。

このため、海外で生まれた居住者の割合は39.6%で、北米で二番目となっています(ちなみにニューヨークは27.9%)。市民の民族構成も、きわめて多様です。


Statistics Canadaより(複数回答可)

実際に街を歩いていても、すれ違う人たちの顔立ち、肌の色、ファッション、聞こえてくる言語など、本当に様々です。レストランも、日本食はもちろん、マレーシア、メキシコ、ギリシャからアフガニスタンまで、世界中から移民がやってきて、それぞれの国の料理を提供しています。バンクーバーにやってきた当初は、世界中から一斉に人がやってきて集団生活を始めたような街の雰囲気に、日本との大きな違いを感じました。

そんなバンクーバーで、先月TaiwanFestというイベントが開催されました。中国との複雑な歴史を持つ台湾について、正しい理解やその魅力を伝えようと企画されたようです。


 台湾料理のスタンドに行列を作る人たち(HPより)


台湾名物の一つ、牛肉麺(HPより)


台湾の伝統文化の紹介も(HPより)

ここまではよくある異文化紹介イベントなのですが、大変興味深かったのは、メイン会場で行われた、台湾の人気歌手Della(丁噹)のコンサートでした。


Vancouver Art Gallery横に作られた特設ステージ


台湾ではヒットチャート1位を獲得しているらしい


当日の地方紙では"east meets west"という題で一面に取り上げられていました

私も興味本位でライブを見に行ったのですが、会場は既に大勢の人で溢れていました。


Dellaのステージに集まったたくさんの人々(HPより)

最初は「この歌手、カナダでも人気あるのだろうか」や「それとも自分みたいにミーハーで見に来ているのかな」などと思っていたのですが、ライブが始まってから徐々に異変に気づきます。

どうやらこの狭い会場に集まっている千人を超えるだろう観客の多くが中国系の人びと(そしてそのほとんどが台湾系中国人)のようなのです。

会場には白人はほとんどおらず、集まっている人はほぼ外見上アジア系でした。さらにライブ中のMCは全て中国語で行われていたのですが、観客のほとんどはMCの内容を理解しており、時折交わされるジョークに笑っていました。ライブの最後に彼女の代表曲らしい"我愛他"という曲が演奏されたのですが、会場中が大合唱をしていました。


全て中国語で行われるMCと演奏


観客が共に歌ったDellaの代表曲"我愛他"(HPより)

「そりゃあ彼女の曲に興味があるからわざわざ集まっているのだろう」と言われれば確かにそうなのですが、はるか離れたバンクーバーで、台湾にルーツを持つ人たちが千人近くも集まり、一つの曲を共に歌っているという事実が、私にとってはとても新鮮でした。だって東京でイタリアの有名な歌手がイタリア語でイベントを開いても、さすがにここまでイタリア人は集まらないですよね?台湾のように決して大きくない島から多くの人々が移り住み、そのカルチャーを今なお共有していることが興味深く感じられた一日でした。


おまけ:キャンパスへの帰り道、橋から撮影したバンクーバーの夜景(だいぶボケていますが…)

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