2011年11月8日火曜日

TEDxに行ってきました

皆さんは"TED"というカンファレンスをご存知でしょうか。

TED"Ideas worth spreading"というスローガンの下、ビジネスや国際問題、アートや医療など様々な分野のエキスパートが講演を行うカンファレンスです。


http://www.peterseljan.com/より

元々は非常に閉鎖的なサロン的集まりだったものの、TED Talksというウェブサイトによる講演の配信スタートをきっかけに世界中にその名を知られるようになり、今や”TEDx”という名の下、本来のTEDとは別に、世界各地でカンファレンスが開かれています。

Facebookの共同創業者Eduardo Saverinも、先日Facebook上で以下の発言をしていました。

“What is your favorite source of learning outside of school? 
I really love watching TED videos, which varies from topics 
such as pandemics to the birth of the internet…“

様々なトピックに関する動画が約1000本もあり、一つあたり約20分と短いので、私もよく朝食を食べながらTED Talksを見ています。

そんなTEDxが、このUBCでも開催されると聞き、先日足を運んでみました。

Terry Projectという、世界中の様々な問題に対し学ぶ機会を与えることを目的とした学内の団体が主催するイベントで、今年で4回目になるそうです。


Ted x Terry Talksのプロモーションビデオ 

プログラムはUBCの学生9名によるプレゼンと、3本のTED Talksの動画が紹介された他、何度か休憩時間があり、他の来場者と意見交換をすることができました(元々のTEDも、来場者内でのネットワーキングが主な目的だったようです)。会場には300-400人の観客が来ており、6時間にもわたるカンファレンスだったにも関わらず、ほとんどが最初から最後までプレゼンテーションに耳を傾けていました。


最初のスピーカー、UBCの学生新聞であるUbysseyJustin McElroyによる、MediaAudienceの関係の変化に関するプレゼンテーション

各分野の第一人者ではなく、学生のプレゼンということだったので、最初は本当に面白いのか少し疑っていたのですが、実際にはどれも個人のストーリーや信念を力強く語っていて、とても刺激的でした。

そして何より、スピーカー全員が見事なデリバリーをしていました。堂々とした姿勢、観客を引き込むユーモア、全体のストーリー構成など、選ばれたスピーカーということもありますが、やはり日頃から自分の意見を表明することに慣れているUBCの学生だからこそできるプレゼンテーションだと感じました。


歴史学部のRichard Kemickによるプレゼン。いかに歴史学部がビジネススクールと比べてみずほらしい建物で教育を受けているかをユーモアたっぷりに語りながら、教育の質がその学問が「金儲け」につながるかに左右されている現状を、皮肉を込めて伝えていました。

私が今回のカンファレンスで一番感動したのは、Laura Bainという学生による、”Living with Bipolar Type II”というプレゼンでした。双極性障害という、躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患を抱えている彼女が、本を読むだけでは伝わらない双極性障害の実情を、それぞれの状態のときに書いた日記などを読みながら伝えました。躁状態とうつ状態は二週間の周期で繰り返されるらしいのですが、丁度このときはうつ状態だったらしく、つらそうな姿で必死に訴えかけるプレゼンに、会場中がスタンディングオーベーションで応えていました。

このTED x Terry Talksには、ロシア生まれイスラエル育ちの友人と一緒に見に行ったのですが、彼や他の友人と一緒に、最近TED Talksを見ながらディスカッションをする試みを始めました。

日本で私の友人たちが立ち上げた、TED Talksを見ながら英語でディスカッションするTEDeeというプロジェクトがあり、「バックグラウンドの違う留学生たちの中で同じことをしたら面白いのでは」と思って友人に声をかけたのですが、予想通りとても有意義な議論をすることができました。

前回はTEDxTokyoでキャシー松井さんが行った”Womanomics”というプレゼンを見て、お互いの国の女性の雇用問題について議論しました。


参加者の中にメキシコからの留学生がいたのですが、「メキシコはもっと女性の雇用差別がひどい。縫製工場だと、働いている女性は、紙ナプキンを見せて自分が妊娠していないことを示さなきゃいけない。妊娠しているとすぐに辞めると思って工場主は雇いたくないから」と言っていました。なんとなくメキシコには女性の地位が高いイメージを持っていたのですが、全く間違っていました。一方で彼女は「女性がもっと働くようになるべきか」という問いに対しては「必ずしもそうではない。子どもが小さいころは一緒にいてあげた方がいい。仕事ばかりの人生は幸せじゃないし」と答え、北欧のように共働きのできる環境を必ずしも求めていないようでした。

皆で一緒にビデオを見ることで議論の共通の土台ができ、とても面白いディスカッションができるので、興味のあって日本に住まれている方はぜひTEDeeをチェックしてみてください。最近は東京のみならず全国各地で開催されているようです。


おまけ:秋晴れのキャンパス。今年は珍しく雨が少ないようです。

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